システム  ›  第VI部 · システムとしての全体

§21 · 第VI部

価値フロー地図(VSS)

国家全体は一つの価値フロー系として描き出せる:不労の地代がコモンズへと流れ、コモンズが下限と配当を賄い、是正された市場が残りを清算する、単一のグラフである。この地図は装飾ではない。それはフィードバック・ループを可視化する。ゆえに、助けとなるはずの安定装置が既得権者を密かに保護していないかを検証でき、不均衡を症状ごとに継ぎ接ぎするのではなく、全体の水準において読み取ることができる。系の深奥の失敗は稀少ではなく不均衡であり、それを見通せるのは全体系の視座だけである。

その意味するところ

国家全体を一つのグラフとして描けば、その機構は可読となる。地代は、土地・データ・電波・計算資源から生じ、共有財基金へと流れ込む。基金は市民配当と能力の下限として流れ出す。外部性オーバーレイを備えた是正済みの市場が、残る一切を清算する。そして反価値ベクトルは賦課へと流れ、賦課はふたたび基金へと環流する。全体として見れば、隠れた環が浮かび上がる。すなわち、助けとなるはずの安定装置が密かに既得権者を庇護していないか、あるいは単一の指標では見えぬ不均衡が積み上がっていないかを、点検できる。かかる体系の深い失敗は、稀少性ではなく不均衡にあり、それが破綻する前に捉えうるのは全体系の像のみである。

価値統治がそれを必要とする理由

体系として見ることのできぬ体系を、統治することはできない。継ぎはぎに、政府は症状を手当てし、安定を実際に決するフィードバックの環を見落とす。本節が存するのは、教義に自らの単一かつ正直な像を与えるためである。しかして、その環は、善循環も悪循環も、孤立した問題としてではなく環として読み、監査し、是正しうる。

他の手法との比較

本節は、スタフォード・ビーアの実行可能システムモデルとサイバーシン、すなわちフィードバックによって統治される国家に由来し、なおサイバーシンの知識問題による失敗を戒めとする。それはシステム・ダイナミクスのストックとフローの言語で描かれ(メドウズ)、マルクスの再生産表式を甦らせる。その教訓は、深い失敗が貨幣の不足ではなく諸部門間の不均衡にあるということであり(マルクス)、レオンチェフの投入産出表に類縁する。この地図が捉えんとする失敗は第22節である。